「1年の災厄を断ち切る」という思いを込めて、切れやすいおそばを食べるというのが定説です。地方や地域によって少しずつ違いがあるようで、そうめんやうどんのところもあるようです。元々、「三十日そば」という習慣が江戸時代中期頃にあり、当時流行していた「かっけ」の予防に「そば」がよいとされていたことも、その由来の一つです。そばは、生育期間が短く,痩せた土地でもよく育つので、飢饉に備える作物として古くから利用されてきました。夏に白い花が咲き、秋に三角すい型の実をつけます。そば粉は小麦粉のようにグルテンを形成しないため粘りがありません。そこでつなぎとして小麦粉、卵、山芋などを加えます。「二八そば」とは、小麦粉2割とそば粉8割で打ったそばという意味です。そばの実の中心部だけをひいた一番粉は、純白の粉で,最も上質なそば粉とされています。別名「更科」。誇りを持って、店名に使うところも多いようです。                 大変な状況のまま新年を迎える今年、災厄を断ち切るためにも、除夜の鐘を聴きながら『年越しそば』をいただきましょう。